【第49回】財産リスト作り 全体像把握

第49~58回

「相続税のかかる人が増えていると聞きました。
わが家には財産と呼べるほどのものはありませんが、何か準備が必要でしょうか」

もともと相続税は、オーナー経営者や地主など一部の富裕層だけに課される税金で、
普通の方にはなじみの薄いものでした。

しかし、2015年から制度が大きく変わり、対象者が倍増しています。
特に都市部に持ち家のある方は、サラリーマン家庭でも課税の対象になる可能性が高まりました。

そこでこの連載では
「相続税とはどんな税金なのか」「何に備えておけばよいのか」などを解説していきます。
わが家にはどんな準備が必要なのか、家族でじっくり考えるきっかけにしてみて下さい。

相続税は誰にかかる?非課税枠は?

相続税は、亡くなった方の財産を引きついだときに課税される税金です。

「相続税」というネーミングではありますが、対象者は「相続人」に限りません。
相続人以外の方が遺言で財産を受け取った場合にも課税されます。

ただし、相続税には一定の「非課税枠」があり、
亡くなった方の財産のトータル金額が、このボーダーラインを超えなければ
課税されることはありません。

この非課税枠のことを「基礎控除額」といい、
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という算式で計算します。

そのため、まずは財産リストを作るなどして「わが家の財産の全体像」を把握しておきましょう。

相続税のボーダーラインを超えているか・いないかを確認することが、
相続税への備えの最初の一歩になります。

相続税の対象になる財産

ここで気をつけたいのが、「相続税のかかる財産の範囲」です。
一般的に遺産だと思われているもの以外にも、相続税の対象になるものがあるからです。

まず、自宅や金融資産といったいわゆる「普通の財産」は、
墓地や仏壇など特に非課税とされているものを除き、
経済的価値のあるもののすべてが課税の対象になります。

また、死亡保険金は財産ではありませんが、
相続税の世界では「みなし相続財産」と呼ばれ、課税の対象に含まれます。

さらに、亡くなった方が相続人などに生前贈与をしていた場合、
相続開始前3年以内の「生前贈与財産」も相続税の計算に含めることになっています。

相続税の計算例

では、例えば6,000万円の財産を相続人2人が相続する場合、相続税の総額はいくらになるでしょう。

実はこの計算方法は少し複雑です。
単に基礎控除額を超えた部分に税率を掛けて求めるわけではないからです。

まず、6,000万円から基礎控除額の4,200万円を引いた残りの1,800万円を、
いったん法定相続分の2分の1ずつに分けます。

そして分けた900万円に税率10%を掛け、それをまた合算するという2段階で計算します。

これは、実際に遺産をどう分けたかで、国に入る相続税が変わらないようにするためで、
90万円×2=180万円の相続税を実際に相続した割合で負担し納めます。

なお、相続税は法定相続分で分けた金額が多いほど高い税率が適用される
「累進課税」という仕組みになっています。

相続手続きの中には、遺産分割や財産の名義書換のように法的な期限がないものもありますが、
相続税の申告納税は「亡くなった日の翌日から10か月以内」と期限が決められています。

相続税は現金一括払いが原則ですから、
「めぼしい財産は自宅だけ」といったご家庭ほど、
元気なうちから相続税について学び備えておいた方が安心です。

この連載を通じて、相続税への不安を少しずつ解消していきましょう。

-第49~58回

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