相続・家族・財産カウンセリング

福田真弓相続カウンセリングオフィス

人生に、サステナブルな豊かさと健やかな心を

Sustainable wealth and well-being

【第28回】 相続時精算課税を使ってもよい人は?

第25~36回

精算課税を使ってもよい人

前回のコラムでご説明した相続時精算課税の落とし穴をふまえると、精算課税を使ってもよい人は、以下のいずれかに該当する方だけだと考えられます。

相続税がかからない人

財産が相続税の基礎控除額以下、つまり相続税が課税されない方なら、贈与が相続税で精算されません。特別控除額の2,500万円を積極的に活用し、財産を渡してもよいでしょう。ただし、相続税の基礎控除額が縮小(平成27年1月1日以後の相続について)されれば、相続税が課税されるというリスクは残ります。
※相続税の基礎控除額は、現在は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」ですが、平成25年度税制改正に伴い、平成27年1月1日より「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に縮小されます。

確実に値上がりする財産を持っている人

精算課税で贈与を受けた財産にかかる相続税は、「相続時」ではなく「贈与時」の時価で計算します。贈与時の時価が100万円で、相続時には時価が1億円になった株式なら、100万円として相続税を計算するので、相続税は得です(逆に値下がりしたら損になります)。

収益性の高い財産を持っている人

賃貸マンションなど、収益を生む財産を贈与すれば、その財産から生じる収入を生前のうちにあげる人からもらう人に移転できるので、相続財産の増加を抑えられます。どんなに高額な財産でも、20%の税負担で贈与が行えるのは大きな利点です。

将来の遺産分割争いを避けたい人

例えば同居している子に自宅を、会社を継ぐ子に自社株を、など特定の相続人に特定の財産を残したい場合には、相続ではなく贈与なら、あげる人の目の黒いうちに確実に財産を渡せます。
逆に、特定の相続人以外の相続人に精算課税で財産を渡し、生前に遺留分の放棄をしてもらうという方法も考えられます。遺留分の減殺請求を受ける恐れがないなら、遺言書通りの財産分けが実現するので安心です。

精算課税の落とし穴を理解した上で、改めてその特徴に目を向ければ、相続対策に活用できることもあります。
空前の生前贈与ブームの中、断片的な知識しかなく不安に思われている方も多いでしょう。自分に必要な、そして正しい情報を、ぜひ積極的に得るように心がけてみて下さい。

-第25~36回

関連記事

【第33回】 どうする?名義株

法人税申告書の別表2で株主構成を確認できる? 相続税の試算を行うため、お客様がお持ちになった資料を確認しようと、法人税の申告書を上から1枚めくったところ、別表2の「同族会社等の判定に関する明細書(以降 …

【第27回】 相続時精算課税の落とし穴

精算課税の落とし穴あれこれ 相続時精算課税(以下、精算課税)の落とし穴として考えられるものを挙げたところ、結構たくさんありました。そのいくつかをご説明します。 親より先に子が亡くなると損 親より先に子 …

【第25回】 相続時精算課税、使ってみても大丈夫?

対象者が広がった相続時精算課税制度を活用すべき? 平成25年度の税制改正で、相続時精算課税制度が今までより使いやすくなります。 平成27年1月1日以後の贈与から、贈与者の年齢要件が60才以上(現行は6 …

【第31回】 進む事業承継への環境整備

事業承継税制はこう変わる 平成25年度税制改正で事業承継税制(非上場株式に係る相続税・贈与税の納税猶予制度)の見直しが行われました。 事業承継税制とは、中小企業の後継者が現経営者から株式を承継する際に …

【第34回】 非上場株の贈与、増加中

自社株に譲渡制限が付されていたら 株主名簿がなく、株主の分かる資料が別表2の「同族会社等の判定に関する明細書(以降、別表2)」だけという会社は、決してめずらしくありません。 また、過去に株式の贈与があ …