相続税・贈与税の税収がバブル期を超え過去最高に

相続税相談の現場から

相続税の税収がバブル期を超え過去最高に

7/31に財務省は、令和4年度(令和4年4月1日~令和5年3月31日)の税収を公表しました。

令和4年度一般会計税収の予算額と決算額

相続税(相続税+贈与税)の税収は、2兆9,694億円で

バブル期である平成5年度の2兆9,377億円を抜いて、過去最高となりました。

所得税や法人税、消費税といった他の国税も、税収は前年比で増えています。

税収が増えた理由

相続税の税収が増えた理由としては

・死亡者数の増加
・地価や株価の上昇

などが考えられます。

今後の地価や株価の動向は分かりませんが
死亡者数は、令和22年(2040年)ごろまでは増えると予測されていますので

相続税の税収は、当面高い水準のままになると思われます。

30年前と今の違い

ただ、平成5年度と令和5年度の30年の間で
同じ「相続税」といっても、その中身は大きく変わりました。

比べてみると

基礎控除額

平成5年度 4,800万円+950万円×法定相続人の数
令和5年度 3,000万円+600万円×法定相続人の数

税率区分・最高税率

平成5年度 13段階・70%(10億円超の部分)
令和5年度 8段階・55%(6億円超の部分)

となっています。

つまり、相続税は「富裕層への重税」から
「広く薄く、ちょっとゆとりのある層への税」になったといえます。

なお、「相続税がかかった人/亡くなった人」を示す相続税の課税割合は
毎年12月に国税庁から公表されます。

昨年12月に公表された令和3年分の課税割合は、9.3%でしたので
今年12月に公表される令和4年分の課税割合も、同程度か若干増える程度になると思われます。

令和3年分 相続税の申告事績の概要

 

-相続税相談の現場から

関連記事

本当に必要な相続税対策とは

平成25年度の税制改正で、相続税は増税され贈与税は緩和されました。 「相続税対策が必要なのかな」と、漠然とした不安を感じる方も増えるでしょう。 そこで、新たに相続税の対象となる財産額が5000万円~1 …

市場下落時の相続税の注意点

相続税収・贈与税収が過去最高に 財務省は先月、令和5年度の相続税・贈与税の税収が 過去最高の3兆5,663億円を記録したことを公表しました。 相続税・贈与税の税収は、 バブル期だった平成5年度以後、3 …

令和6年分の路線価の動向

国税庁は、7月1日に令和6年分の路線価図等を公表しました。 全国的に上昇傾向です。 路線価について 国税庁/令和6年分 財産評価基準書路線価図・評価倍率表 今回、公表された令和6年分の路線価は 令和6 …

兄には絶対、財産を残したくなかったら?

「遺言書を作りたい」という男性が、事務所にお越しになりました。 子どもはなく、さらに妻にも先立たれ、ご両親も既に他界しているので、法定相続人は兄だけです。 でもその兄とは、お父様の相続のときにもめた結 …

生前贈与が相続税に加算される期間が7年に延長されます

令和5年度の税制改正で、相続税・贈与税の計算ルールに大きな変更がありました。 一番大きな変更点は、相続税の対象になる生前贈与の年数が長くなることです。 生前贈与の相続税への加算期間の延長 今までは、相 …

相続税相談の現場から
ブログ