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【第44回】 遺言書の内容と異なる分け方はできる?

第37~48回

前回のコラムでは、遺産分割協議がまとまらない理由や、長引いた場合の問題点についてご説明しました。今回も引き続き、「財産の分け方」にまつわる問題についてです。

遺言書の指示通りに分けなくてもOKです!

実務では、遺言書があっても遺産分割協議を行うケースがあります。相続人の全員が話し合いで合意できれば、遺言書と異なる遺産分割をすることも可能です。
必ずしも遺言書の指示通りに分けなければならない訳ではありません。

たとえば、「特定の相続人には一切財産を相続させない」という法律上有効な遺言書があったとしても、それにより相続人同士に亀裂が生じ、修復不可能な状態になるのを避けるため、遺産分割協議を行うことにより円満な財産の分け方を模索します。その方が、お互いに遺留分の減殺請求をする・される負担がなくなるというメリットもあります。

しかし、相続人以外の第三者(受遺者)が遺言書で財産をもらうことになっている場合には、受遺者が財産をもらう権利を放棄するのは難しいでしょう。
また、遺言書で遺言執行者が定められている場合には、相続人ではなく遺言執行者が遺産の管理処分権を持っているため、相続人全員の合意だけでは遺言書と異なる分け方はできず、遺言執行者の同意が必要です。

相続時精算課税は「生前」の遺産分割

財産分けをスムーズに行うためには、相続の発生「前」にできることとできないことを、正しく理解しておくことが必要です。

被相続人の生前に「遺産分割協議」や「相続放棄」はできません。「遺留分の放棄」なら行えますが、家庭裁判所の許可が必要です。お客さまが「〇〇は父の生前に相続を放棄しているから、財産をもらう権利はない」とおっしゃることがありますが、生前に相続放棄をしたり、財産の分け方を決めたり(遺産分割協議)することはできません。

「遺留分の放棄」は、”遺言書で遺留分を侵害されても文句を言わない(遺留分の減殺請求を行わない)”ということであり、遺言書が作成されていなければ、相続人による遺産分割協議が行われます。遺留分の放棄をした相続人も相続放棄をしたことにはならないため、法定相続分の相続を自分の権利として要求することもできますので、その点については注意が必要です。

そう考えると、「相続時精算課税」による贈与は、「生前」に行う遺産分割だといえるでしょう。特定の子どもや孫に渡したい財産を、20%の贈与税負担で生前に渡すことができるため、相続税対策にはなりませんが、遺産分割対策にはなると思われます。

非上場株式の相続でも、株式の評価額は誰がその株式を相続するかにより大きく異なります。相続税の納税額やキャッシュフローは、いわば「財産の分け方次第」なのです。

みなさまの「分けられるか」「払えるか」への不安を少しでも払拭できるよう、遺産分割協議がスムーズに進むようなアドバイスを行うことも、私の職務のひとつだと考えています。

-第37~48回

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