【第16回】 広大地バンザイ?

第1回~24回

※この「広大地の評価」は、平成29年12月31日以前に相続があった場合に適用できる規定です。
平成30年1月1日以降の相続については「地積規模の大きな宅地の評価」の適用を受けられるかを検討して下さい。

前回のコラム「広くて大きい土地持ち=お金持ち?」では、土地の評価額が4割引以上になる「広大地」についてご説明しました。

【広大地の要件】と【広大地補正率】

では、どんな土地が広大地に該当するのか、どんな方法で評価するのかについて、【広大地の要件】と【広大地補正率】を確認します。

【広大地の要件】 (1)~(3) の要件すべてに該当すること

  1. その地域の標準的な宅地に比べて、著しく地積が広大な宅地である
    自分の土地の近くにある「地価公示地」や「都道府県基準地」の地積を参考にする。公示地や基準地の何倍の地積なら広大地に該当する・しないという基準はないが、三大都市圏なら500㎡、それ以外なら1,000㎡が目安。
  2. 都市計画法に規定する開発行為を行う場合に、道路や公園などの負担が必要
    「開発行為」とは、道路を作って区画を変えたり、造成をしたり、農地などを宅地にしたりすること。500㎡以上の土地でも、道路を作る必要がない場合には(つぶれ地が発生しないので)広大地には該当せず、逆に500㎡に満たなくても、道路を作らないと有効利用できない場合には(つぶれ地が発生するので)広大地になることもある。
  3. 次に掲げる土地以外である
    ・大規模工場用地 → 工場用地は広くて大きいことが前提なので、適用除外
    ・マンションの敷地に適した土地 → マンションは公園や緑地などの部分も含めて購入者に有償で譲渡できるので、適用除外

【広大地補正率】
0.6-0.05×広大地の地積/1,000㎡

広大地の事例

(前回のコラムの事例)
路線価 30万円×広大地補正率0.55(0.6-0.05×1,000㎡/1,000㎡)×地積1,000㎡=1億6,500万円

東京23区内の高級住宅街に1,000㎡の土地を持っている人は限られるので、要件に該当するかの判断は容易です。

ただし、広大地は「宅地」とは限りません。市街化区域内にある「農地、山林、原野、雑種地」も、家を建てることができるので広大地の対象になります。
東京、神奈川、千葉、埼玉に500㎡以上の農地を持つ人は少なくないはずですが、周囲に広大な農地が多くある場合には、自分の農地が要件(1)の「その地域の標準的な宅地に比べて、著しく地積が広大な宅地である」かについて、判断に迷うこともあります。

広大地は得なのか?

また、広大地に該当すれば、相続税評価額が下がり相続税も安くなるから「広大地バンザイ!」なのかというと、必ずしもそうとは限りません。

相続税を現金で納めるのではなく、相続した財産で「物納」する場合、収納価額(納税に充てる金額)は「広大地としての相続税評価額」になります。
3億円の納税に充てようと事例の土地を物納しても、1億6,500万円にしかなりません。物納を選択せず、その土地を不動産会社に売却して所得税を払い、残った現金で納税した方が得だったということもあるのです。

ただし、広大地の評価をするかしないかは、選択制ではなく強制です。広大地の要件に該当するなら、必ずこの方法で評価しなければなりません。

広大地か否かは、納める相続税の金額や納税方法に直結しています。広い土地をお持ちのお客様は、相続の前に一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

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